ほんの少し前まで、
抱っこしていても壊れそうなくらい儚いいきものだったはずなのに、
ハイハイが上手だねーなんて感動していたはずなのに、
僕の後ろを追いかけて掴まるまでが大冒険だったはずなのに、
あっというまに、彼女は自分の足で立ち、この世界を駆け回る術を身に着けている。
どんどん世界が広がるね、おめでとう、という気持ちが、9だとしたら、
腕の中で眠る、小さくて柔らかくていい匂いのする、あの小さな赤ちゃんにが出来ないのは寂しい…という気持ちが1割かな。
名作のゲームを「記憶を消して初めからやり直したい」みたいなもので、出来ないからこそ、少しだけ思ってしまうものなんだろうか。
どんどん手がかからなくなって、それはそれで嬉しいことなんだけれど、やっぱり父ちゃんは少しだけ寂しいから、昔の君の写真を見て時間の流れに逆らってみてるわけだ。